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第18章 聖ヨハネ准司教座聖堂

ヴァレッタの地図(別ウィンドウで開きます)

 お昼を食べ終わった後、まだ聖堂が再オープンするまで時間があったので、カーマライト教会Carmelite churchへと向かうことにした。

写真:垂れ幕 共和国通りから左に折れオールドシアター通りに入ると、通りの上には真っ赤な垂れ幕が等間隔でぶら下げられていた。お祭りでもあるのだろうか?
 オールドシアター通りの長い下り坂を下る途中右手に、オペラなどが上演されるマノエル劇場Manoel Theatreがあり、ほぼ下りきったかなという所にカーマライト教会はあった。
 お昼時だからか、教会の中には受付の人と私の他、もう1人観光客の男性いるだけだった。白く高いドーム型の天井と、鮮やかに彩色されたマリア像が印象的な教会である。

写真:聖ヨハネ准司教座聖堂 再び共和国通りに戻り、聖ヨハネ准司教座聖堂St John's Co-Cathedralへと向かう。

 聖ヨハネ准司教座聖堂も騎士団総長の館のように、外観は装飾のないすっきりした建物だった。しかし一歩中にはいると、圧倒される豪華さ。
 天井一面はフレスコ画で覆われ、壁や梁は金や銀でこれでもかというほど装飾されている
 そして床は騎士達の墓石が敷き詰められているのだが、それには黒赤白様々な色の大理石を使って天使や骸骨の絵が描かれていた。
 
 聖堂の中央部分はロープが張ってあり、中に入れないようにしているため左脇より聖堂の奥へと進む。
 聖堂の両脇は、各言語別の騎士団ごとの小さな礼拝堂になっている。左手が入口に近い方からドイツ、イタリア、イル・ド・フランス、プロヴァンス、右手はカスティーリャ・レオン&ポルトガル、アラゴン&ナバラ、オーヴェルニュ。
 この各言語別の礼拝堂の床も、騎士達の墓石で敷き詰められていた。墓石には騎士の紋章や名前などが刻まれているのだが、今までに何人もの人々に踏まれてきたために、文字がすり減って読むことができない物、無数のひび割れが入っている物も数多くあった。人が通るところには絨毯がひかれたり、板が渡されたりしてあるが、将来的にはガラスで覆ってしまったほうがいいのではないかと思った。
 左手一番奥にあるプロヴァンスの礼拝堂に、地下へと下りる階段があった。下りきったところには鉄格子がはめてあり、しっかり鍵が閉められている。中を覗くと真っ暗で、カビ臭く湿っぽいヒンヤリした空気が流れてきた。ここはヴァレッテなど歴代騎士団総長の墓があるらしい。
 

 一通り各言語別騎士団の礼拝堂を見学し終えて、右手にある併設の美術館へと入った。入場料はLm1(約250円)。
 美術館に入ってすぐのところに、有名なカラヴァッジオの「洗礼者聖ヨハネの斬首」「聖ヒエロニムス」があった。彼の代表作であるこの2つは、バックの闇の中に、まるでスポットライトが当たっているかのように人物が浮かび上がっているという、カラヴァッジオの特徴である明暗のコントラストがはっきり現れている作品だった。「洗礼者聖ヨハネの斬首」は、聖ヨハネが押さえつけられ、まさに今首を切られようとする瞬間をとらえた絵で、聖ヨハネを押さえつける男の腕は筋肉の盛り上がりを見せ、手を顔に挙げ悲嘆の表情を見せる女性、首を乗せるための盆を差し出す腕、そして窓から様子をのぞき見る人々の顔は、リアルにサディスティックな場面を絵の中に再現していた。
 その他美術館には、タペストリーや騎士の衣装、騎士団総長の肖像画などがあった。

 美術館の出口は、スーベニアショップになっていて、絵はがきやスライド、フィリグリー(銀線細工)のペンダントや銀製の剣の形をしたペーパーナイフ、そしてマルタ十字がプリントされてネクタイも売られていた。
 地図も何種類か売られており、その中からヴァレッタ市街地の絵地図(A walk round guide - What to see)と、マルタ全体の絵地図(Landmark Malta & Gozo Illustrated Map)を買った。
 なおこのスーベニアショップから、聖堂の中庭に出ることができる。

 聖堂をでた後、聖堂の右手、共和国通りとは平行しているマーチャント通りを聖エルモ砦の方に向かって歩いていく。長い下り坂を下るに従って、市場や小さな食料品店、そして道の両側の建物には洗濯物が翻るようになり、この辺はヴァレッタの下町(本当に坂の下のほうだが)なんだと思った。
 マーチャント通りから途中右手に折れ階段を降りると、海岸沿いの通りに出た。左に折れ、マルタ・エクスペリエンスへと向かう。

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